社員が増えてきたものの、「結局、社長しか判断できない」「特定の社員が休むと仕事が止まってしまう」と感じることはありませんか。
このように、特定の人しか仕事の進め方や判断基準を把握しておらず、その人がいないと仕事が進まなくなる状態を「属人化」といいます。
属人化は、創業期の会社では自然に起こりやすいものです。しかし、会社が成長してもその状態が続くと、意思決定の遅れや人材育成、採用後の定着など、組織全体にさまざまな影響を及ぼすことがあります。
この記事では、属人化が起こる理由や会社への影響、属人化を防ぐための考え方について解説します。
属人化はなぜ起こるのか
属人化は、特別な会社だけで起こる問題ではありません。創業期から成長期にかけて、多くの会社が経験する組織の変化の一つです。ここでは、属人化が起こりやすい主な理由を紹介します。
創業当初は社長がすべてを担っているため
創業当初は、社長自身が営業や現場対応、経理など幅広い業務を担当し、会社の状況をすべて把握しています。
そのため、社長が判断し、社長が動くことが最も効率的な場面も少なくありません。しかし、このやり方が会社の成長後も続くと、判断やノウハウが社長一人に集中し、社員が自分で考えて動きにくい状態になってしまいます。
仕事や判断の基準が共有されていないため
社員が増えると、これまで口頭で伝えていた内容や、その場の判断だけでは仕事が回らなくなります。それでも仕事の進め方や判断基準が社長や特定の社員の頭の中にしかない状態では、社員は一つひとつ確認しなければならず、仕事が止まりやすくなります。
情報や判断基準を組織全体で共有できていないことも、属人化が進む大きな要因の一つです。
「自分がやった方が早い」が積み重なるため
忙しい時ほど、「説明するより自分でやった方が早い」と感じることがあります。短期的には効率的な判断ですが、それが続くと社員が経験を積む機会が減り、結果として社長しかできない仕事が増えていきます。
属人化は一度に起こるものではなく、こうした日々の判断の積み重ねによって、少しずつ進んでいくケースが少なくありません。
属人化が会社に与える影響
属人化は、すぐに会社の経営を大きく左右するものではありません。しかし、会社の成長とともに社員や仕事が増えていくと、少しずつ組織全体へ影響が広がっていきます。
社長への確認が増え、意思決定が遅くなる
仕事の進め方や判断基準が社長しか分からない状態では、社員は小さなことでも確認を取る必要があります。その結果、社長は本来取り組むべき経営判断だけでなく、日々の細かな相談や承認にも時間を取られるようになります。
社員も回答を待つ時間が増え、業務全体のスピードが落ちてしまうことがあります。
社員が育ちにくくなる
属人化が進むと、社員は「自分で考えて判断する」経験を積みにくくなります。判断に迷うたびに社長へ確認する習慣が続くことで、自ら考えて行動する機会が減り、業務の幅も広がりにくくなります。
その結果、新しい仕事を任せたくても任せられず、社長への依存がさらに強まるという悪循環につながることがあります。
採用しても組織が成長しにくい
新しい社員を採用しても、仕事の進め方や判断基準が共有されていなければ、教育に多くの時間がかかります。「見て覚える」「その都度聞く」といった状態では、新しく入社した社員も力を発揮しにくく、戦力になるまで時間がかかるでしょう。
会社を成長させるために採用したはずが、社長の負担が増え、思うような成果につながらないケースも少なくありません。
属人化を防ぐために経営者ができること
属人化は、一度に解消できるものではありません。会社の規模や成長段階に合わせて、仕事の進め方や情報共有の方法を少しずつ見直していくことが大切です。
仕事の進め方や判断基準を言葉にする
社長の頭の中にある「当たり前」は、社員には伝わっていないことも少なくありません。業務の手順だけでなく、「どのような考え方で判断しているのか」を言葉にして共有することで、社員も自分で判断しやすくなります。
すべてをマニュアル化する必要はありません。まずは、よくある業務や繰り返し発生する仕事から整理していくと、無理なく進められます。
少しずつ仕事を任せる機会を増やす
「任せる」といっても、最初からすべてを任せる必要はありません。判断の範囲を決めながら少しずつ経験を積んでもらうことで、社員も自信を持って仕事を進められるようになります。
短期的には教える時間が必要になりますが、長期的には社長しかできない仕事を減らし、組織全体の成長につながります。
情報を個人ではなく組織に残す
仕事の履歴やノウハウ、顧客対応の内容などを、社長や特定の社員だけが把握している状態では、担当者が変わるたびに同じ説明や確認が必要になります。
日報や議事録、業務マニュアル、クラウドツールなどを活用しながら、情報を組織全体で共有できる環境を整えていくことが大切です。情報が個人ではなく会社の資産として蓄積されることで、引き継ぎや採用後の教育もしやすくなり、属人化しにくい組織へ近づいていきます。
属人化を防ぎ、成長し続ける組織をつくろう
属人化は、特定の人しか仕事の進め方や判断基準を知らない状態であり、創業期の会社では自然に起こりやすいものです。しかし、会社が成長してもその状態が続くと、社長への業務集中や意思決定の遅れ、人材育成や採用後の定着など、組織全体にさまざまな影響を及ぼします。
属人化を防ぐためには、仕事の進め方や判断基準を共有し、少しずつ社員へ仕事を任せられる環境を整えていくことが大切です。仕組みづくりを進めることで、社長一人に依存しない、成長し続ける組織へ近づいていくでしょう。
フェスタブルでは、属人化の解消だけでなく、組織づくりや採用など、会社の成長段階に応じた経営課題についても発信しています。あわせて理解することで、経営者だけに負担が集中しない組織づくりにつながります。