社員が定着しない理由とは? 会社が見直したいポイント

社員が定着しない理由とは?会社が見直したいポイントを解説

社員を採用できても、「なかなか定着しない」「入社しても短期間で辞めてしまう」と悩む会社があります。

社員が辞めると、「給与が低かったのか」「本人に合わなかったのか」など、退職した直接的な理由に目が向きやすくなります。しかし、社員が働き続けられるかどうかには、入社後の仕事の任せ方や業務量、コミュニケーション、会社の変化への対応なども関係します。

この記事では、社員が定着しにくくなる会社に見られる状態と、採用した社員に長く働いてもらうために会社が見直したいポイントを解説します。

社員が定着しないときは「辞めた理由」だけを見ない

社員が退職するときには、「別の仕事に挑戦したい」「給与を上げたい」「家庭の事情がある」など、さまざまな理由があります。

もちろん、会社側では変えられない理由で退職することもあります。一方で、社員の退職が続いている場合は、一人ひとりの退職理由だけを見るのではなく、入社後の働き方や仕事を任せる体制にも目を向けてみましょう。

たとえば、次のような状態が続いていないでしょうか。

  • 仕事に慣れても任せられる範囲が広がらない
  • 業務が増えているのに役割や仕事の分担が見直されていない
  • 困っていることや仕事について話す機会がない
  • 自分に何を期待されているのか分からない
  • 会社の変化や今後の方向性が十分に共有されていない

一つひとつはすぐに退職につながる問題ではなくても、同じ状態が続けば、社員が働きにくさを感じる原因になることがあります。

「なぜ辞めたのか」だけではなく、入社してからどのような環境で働いていたのかを振り返ることも大切です。

社員が定着しにくくなる会社に見られる状態

社員が長く働ける環境をつくるためには、採用した後の会社の状態を確認する必要があります。初めて社員を迎えた会社では、社長一人で仕事をしていたときのやり方が、そのまま残っていることもあります。

社員と一緒に仕事をするようになったら、仕事の任せ方や情報共有、働く環境も少しずつ変えていきましょう。

仕事を任せても社長への確認が必要になっている

社員に仕事を任せても、進め方や判断について毎回社長への確認が必要な状態では、社員自身で仕事を進めることができません。入社直後は細かく確認する必要があっても、仕事に慣れてからも同じ状態が続けば、社員はいつまでも指示を待つことになります。

社長にとっても確認や判断の仕事が残り続けるため、「社員を採用したのに忙しさが変わらない」という状況につながります。社員の経験や仕事の習熟度に合わせて、仕事だけでなく、自分で判断できる範囲も少しずつ広げていくことが大切です。

仕事が増えても役割や業務量が見直されていない

入社した当初は無理のない仕事量でも、事業が成長するにつれて担当する業務が増えることがあります。新しい仕事が増えるたびに同じ社員へ追加していけば、いつの間にか担当範囲が広がり、業務量に無理が生じることもあるでしょう。

社員本人の頑張りだけで対応し続けるのではなく、現在どの仕事を担当しているのかを確認し、必要に応じて役割や仕事の分担を見直すことが必要です。

「できるようになったから任せる」だけでなく、現在の業務量で無理なく仕事を続けられるかも確認しましょう。

仕事について話す機会が少ない

日々の業務連絡ができていても、社員が仕事について感じていることまで共有できているとは限りません。困っていることがあっても、忙しそうな社長には相談しにくいと感じている場合もあります。

また、会社側も「特に相談がないから問題ない」と考えていると、社員が感じている負担や疑問に気づきにくくなります。

特別な面談制度を設けなくても、仕事の進み具合や困っていること、今後取り組みたいことなどを話す時間をつくることで、問題が大きくなる前に気づけることがあります。

会社の変化や今後の方向性が共有されていない

事業が成長すると、新しいサービスを始めたり、顧客層が変わったり、仕事の進め方を見直したりすることがあります。社長にとっては自然な変化でも、その背景が社員に共有されていなければ、「なぜ仕事が変わったのか」「会社はどこへ向かっているのか」が分かりにくくなります。

会社が今どのような状況にあり、これから何を目指しているのかを共有することで、社員も自分の仕事がどこにつながっているのか理解しやすくなります。

社員に長く働いてもらうために会社ができること

社員の定着を考えるときは、制度や待遇だけを整えるのではなく、日々の仕事をどのように進めているかを見直すことも大切です。最初から評価制度や教育制度をすべて整える必要はありません。

社員と一緒に働く中で、必要なものを少しずつ整えていきましょう。

任せる範囲と期待する役割を定期的に確認する

社員が仕事を覚えるにつれて、入社当初とは任せられる仕事も変わっていきます。新しい仕事を任せるときは、業務を追加するだけでなく、何を期待しているのか、どこまで自分で判断してよいのかも確認しましょう。

また、社員側が「もっと任せてほしい」と考えている場合もあれば、現在の業務量に負担を感じている場合もあります。会社側だけで役割を決め続けるのではなく、社員の状況も確認しながら調整していくことが大切です。

社員自身で仕事を進められる範囲を広げる

社員が仕事に慣れてきたら、社長への確認が必要な範囲も見直していきます。「この金額までは自分で判断してよい」「この対応は任せる」など、判断できる範囲を具体的にすることで、社員自身で仕事を進めやすくなります。

すべてを一度に任せる必要はありません。経験に合わせて少しずつ判断できる範囲を広げることで、社員が担える役割も増えていきます。

仕事について話す時間をつくる

社員と話すときは、業務の進捗確認だけで終わらせないことも大切です。現在困っていることはないか、仕事量に無理はないか、これからどのような仕事をしていきたいかなどを確認してみましょう。

会社側からも、できるようになったことや今後期待していることを伝えることで、社員は自分の役割や成長を把握しやすくなります。日々の業務とは少し離れて、お互いの考えを確認できる時間をつくることが、働き続けられる環境づくりにつながります。

会社の方向性を社員にも共有する

社員が増えると、経営者が考えていることを言葉にして伝える必要性も高まります。どの事業を伸ばしたいのか、なぜ仕事の進め方を変えるのか、これからどのような会社にしたいのか。

こうした情報が共有されていれば、社員も目の前の仕事だけでなく、その仕事を任されている理由を理解しやすくなります。会社の方向性は、一度伝えれば終わりではありません。事業や会社の状況が変わったときにも共有し、社員と認識を合わせていきましょう。

社員が増えてきたら「採用」から「組織づくり」へ

初めて社員を採用した頃は、社長と社員が直接話しながら仕事を進めることができます。しかし、社員がさらに増えてくると、社長が一人ひとりの仕事をすべて確認することは難しくなります。

誰が何を担当するのか、どこまで自分で判断してよいのか、必要な情報をどのように共有するのかなど、複数人で仕事を進めるための仕組みも必要になります。社員の定着を考えることは、働きやすい環境を整えるだけでなく、社員がそれぞれの役割を持って仕事を進められる会社をつくることにもつながります。

社員が増えたことで仕事の任せ方や情報共有に課題を感じるようになったら、採用だけではなく組織づくりについても考えていきましょう。

社員が増えた後の組織づくりについては、「組織づくりとは?社員が増えても成長する会社に必要な考え方を解説」で詳しく紹介しています。

社員の定着は入社後の働く環境から考えよう

社員が定着しないときは、退職した社員の理由だけを見ても、会社として改善できることが見つからない場合があります。

仕事をどのように任せていたのか、業務量に無理はなかったか、困っていることを話せる環境だったか、会社の方向性を共有できていたかなど、入社後の働く環境も振り返ってみましょう。

社員が働き続けられる環境は、採用した時点で完成するものではありません。

社員の成長や会社の変化に合わせて仕事の任せ方や働く環境を見直しながら、社員と一緒に仕事を進められる会社をつくっていくことが大切です。