銀行から事業資金を借りたいと考えているものの、「自社は審査に通るのだろうか」「赤字や既存の借入があると融資を受けられないのではないか」と不安に感じている人もいるでしょう。
銀行融資の具体的な審査基準はすべて公表されているわけではないため、申し込む前に審査に通るかどうかを判断することはできません。また、赤字や既存の借入など、ひとつの条件だけで融資を受けられないと決まるわけでもありません。
一方で、業績や借入状況、資金の使い道などを整理することで、融資を申し込む前に見直せることが見つかる場合があります。銀行との取引状況によっても、事前に整理しておきたい内容は異なります。
この記事では、銀行融資の審査に影響する可能性がある要素や、申し込み前に確認・改善しておきたいポイントを解説します。審査に通らなかった場合に考えたい対応も紹介するため、銀行融資を検討している人は参考にしてください。
融資の審査では返済の見通しや資金の使い道などが確認される
銀行に限らず、事業資金の融資を受けるときは、借りた資金を返済できる見通しがあるのか、何のためにいくら必要なのかなどを確認されます。
具体的な審査基準は金融機関や利用する融資によって異なり、すべてが公表されているわけではありません。そのため、ひとつの条件だけで融資を受けられるかどうかを判断することはできません。
一方で、自社の状況を整理することで、融資を申し込む前に見直せる部分が見つかる場合があります。まずは、融資を受ける際に確認しておきたい基本的なポイントを見ていきましょう。
業績や借入状況から返済の見通しを説明できるか
融資は借りたあとに返済する必要があるため、今後も返済を続けられる見通しを説明できることが重要です。
たとえば、赤字が続いていたり売上が減少していたりする場合は、今後の返済原資をどのように確保するのかを説明しにくくなる可能性があります。また、すでに複数の借入があり毎月の返済額が大きければ、新たな融資によってさらに返済負担が増えます。
ただし、赤字や既存の借入があるだけで、融資を受けられないと決まるわけではありません。一時的な設備投資によって利益が減っている場合など、数字には会社ごとの背景があります。
業績に不安がある場合は、なぜ現在の状況になっているのか、今後どのように改善していくのかを整理してみましょう。
また、既存の借入の返済によって資金繰りが圧迫されている場合は、新たな借入を増やすことが必ずしも解決策になるとは限りません。返済期間の延長や返済条件の変更、借換えなどによって、現在の借入を整理できないか金融機関へ相談することも選択肢になります。
資金の使い道と必要額に根拠があるか
融資を申し込むときは、「いくら借りたいのか」だけでなく、「何のために、なぜその金額が必要なのか」を説明する必要があります。
たとえば、設備資金であれば店舗や機械などの見積書から必要額を確認できます。運転資金であれば、仕入れや人件費などの支払いと今後の入金を整理することで、必要な金額を考えられます。
必要額の根拠が曖昧なままでは、希望する融資額が事業に必要な金額なのかを説明しにくくなります。
「借りられるなら多めに借りておきたい」と考えるのではなく、何にいくら必要なのかを積み上げ、希望する融資額が適切かを見直してみましょう。
税金や社会保険料の支払いに問題がないか
税金や社会保険料に未納や滞納がある場合は、融資の相談に影響する可能性があります。
融資を申し込む際には、利用する制度などによって納税証明書などの提出を求められることがあります。また、税金や社会保険料を支払えていない場合は、現在の資金繰りや今後の返済について説明が必要になることもあります。
未納や滞納がある場合は、そのままにして融資を申し込むのではなく、まず現在の支払い状況を確認しましょう。
すぐに全額を支払うことが難しい場合は、税務署や自治体、年金事務所などへ相談し、今後どのように支払っていくのかを整理しておくことも大切です。
銀行融資では銀行との取引状況によって確認されるポイントも異なる
銀行融資では、返済の見通しや資金の使い道などに加えて、融資を相談する銀行とこれまでに取引があるかどうかによっても、説明しておきたい内容が変わります。
初めて取引する銀行には、自社がどのような事業を行っているのかを含めて説明する必要があります。一方、すでに融資を受けている銀行であれば、これまでの返済状況なども銀行が把握しています。
なお、信用保証協会付き融資を利用する場合は、銀行に加えて信用保証協会による保証審査も行われます。そのため、銀行との取引状況だけで融資の可否が決まるわけではありません。
銀行融資を申し込むときは、相談する銀行との関係も踏まえて準備を進めましょう。
初めて取引する銀行には会社の状況を一から説明する
これまで取引のない銀行へ融資を申し込む場合、銀行には自社との融資や返済の実績がありません。
そのため、決算書などの数字だけでなく、どのような事業を行っている会社なのか、なぜ資金が必要になったのか、借りた資金をどのように返済していくのかなど、会社の状況を一から説明する必要があります。
取引実績がないことだけを理由に、融資を受けられないと決まるわけではありません。ただし、銀行側に自社についての情報が少ない状態であれば、融資を検討するための材料を十分に伝えることが重要です。
初めて相談する銀行には、決算書や事業計画書などの書類を提出するだけでなく、自社の事業内容や強み、資金が必要になった背景、今後の見通しまで説明できるように整理しておきましょう。
既存の取引銀行ではこれまでの返済状況も確認される
すでに融資を受けている銀行へ新たな融資を申し込む場合、銀行はこれまでの借入や返済の状況を把握しています。
たとえば、過去に返済の遅れがあれば、新たに融資をしても計画どおり返済を続けられるのかという懸念につながる可能性があります。
ただし、返済が遅れたことだけで、新たな融資を受けられないと決まるわけではありません。取引先からの入金が遅れ、一時的に資金が不足した場合など、返済が遅れた背景は会社によって異なります。
返済の遅れがあった場合は、なぜ遅れたのか、現在は解消しているのか、同じことが起きないためにどのような対応をしているのかまで整理しておきましょう。
前回の融資から会社の状況が変わっている場合は変化を説明する
以前に同じ銀行から融資を受けていても、そのときと現在では会社の状況が変わっている場合があります。
たとえば、前回の融資から売上や利益が減少している、借入残高が増えている、手元資金が減っているといった変化があれば、以前と同じように融資を受けられるとは限りません。
一方で、数字が変化したことには理由がある場合もあります。新店舗の開設や設備投資によって一時的に支出が増えたのであれば、なぜその投資を行ったのか、その投資によって今後どのように売上をつくるのかまで説明することで、数字だけではわからない会社の状況を伝えられます。
「以前も融資を受けられたから今回も大丈夫」と考えるのではなく、前回の融資から会社の状況がどのように変わったのかを確認してみましょう。
悪化している数字があればその理由と改善の見通しを、事業を拡大しているのであれば今回の資金が必要になった背景を整理し、現在の会社の状況を銀行へ説明できるようにしておくことが大切です。
審査に不安がある場合は理由や改善策を説明できるようにする
業績の悪化や既存の借入など、審査に影響する可能性がある要素がある場合は、その事実だけでなく「なぜそうなったのか」「現在はどうなっているのか」「今後どうするのか」を整理しておきましょう。
たとえば、次のように整理すると、銀行へ説明する内容が見えやすくなります。
| 気になる状況 | 確認すること | 今後の対応として考えること |
| 売上や利益が減っている | いつから、なぜ減ったのか | 売上回復や経費削減の具体策を整理する |
| 既存の借入が多い | 借入残高と毎月の返済額 | 新規融資だけでなく返済条件の見直しや借換えも検討する |
| 手元資金が減っている | 入金と支払いのどこで資金が不足しているか | 入金条件や支払い条件、固定費などを見直す |
| 税金や社会保険料に未納がある | 未納額と現在の支払い状況 | 支払いを進める、難しい場合は関係機関へ相談する |
| 希望する融資額が大きい | 何にいくら必要なのか | 見積書や資金繰りから必要額を計算し直す |
審査に不安があるからといって、問題になりそうな事実を隠したり、実態と異なる説明をしたりすることは避けましょう。
すぐに改善できることは融資を申し込む前に対応し、すぐには改善できないことについては、その理由と今後の見通しを説明できるようにしておくことが大切です。
銀行融資の審査に通らなかった場合は理由を整理する
銀行融資の審査に通らなかった場合は、すぐに別の銀行へ申し込むのではなく、まず融資を受けられなかった理由を整理してみましょう。
銀行から審査結果の詳しい理由をすべて説明してもらえるとは限りませんが、担当者に確認することで、今後見直した方がよい点について話を聞ける場合があります。
審査に通らなかったあとは、次のような順番で状況を整理してみましょう。
| 1.銀行の担当者に確認できることがないか聞く
2.業績や借入状況、資金使途などに問題がなかったか振り返る 3.改善できることや、現在の返済負担を見直せないか検討する 4.そのうえで再申込や別の資金調達方法を検討する |
とくに、既存の借入返済によって手元の資金が減り、新たな融資で支払いをつなごうとしている場合は、借入を増やすことだけが選択肢ではありません。
現在の返済を続けること自体が難しくなっているのであれば、金融機関へ早めに相談し、返済期間の延長や一定期間の返済額を減らす条件変更(リスケジュール)、借換えなどによって返済負担を見直せないか検討してみましょう。
また、売掛金の回収や支払い条件、固定費などを見直すことで、資金繰りを改善できる場合もあります。
新たな融資を受けられなかったからといって、すぐに「資金を確保する方法がなくなった」と考える必要はありません。まずは現在のお金の流れと借入状況を整理し、資金繰りを立て直すためにできることがないか確認してみましょう。
そのうえで、日本政策金融公庫からの融資やほかの資金調達方法を含め、自社の状況に合った次の方法を検討することが大切です。
銀行融資の審査に不安がある場合は申し込む前に状況を整理しよう
銀行融資の審査基準はすべて公表されているわけではないため、申し込む前に「融資を受けられる」「受けられない」と判断することはできません。
ただし、業績や借入状況、資金の使い道などを確認することで、申し込む前に改善できることが見つかる場合があります。
とくに、「資金が足りないから、とにかく融資を受けたい」という状況では、新たな借入だけが解決策とは限りません。現在の借入や毎月の返済額、今後の入出金まで整理してみることで、返済条件の見直しや別の資金調達方法など、ほかの選択肢が見えてくることもあります。
自社だけでは「今の状態で融資を申し込んでよいのか」「どのくらい借りるべきなのか」「まず資金繰りを見直した方がよいのか」を判断しにくい場合は、専門家へ相談することも検討してみましょう。
審査に向けて自社の状況を整理したうえで、申し込みの流れや必要書類を確認したい場合は「銀行融資を受けるには?申し込みの流れや必要書類、審査について解説」も参考にしてください。
なお、フェスタブルでは、毎月3社限定で資金調達に関する無料相談を受け付けています。融資を申し込む前に自社の状況を一度整理したい人は、無料相談をご利用ください。