事業が軌道に乗り始めると、「そろそろ社員を採用した方がいいのだろうか」と考える場面が出てきます。
仕事は増えているものの、人件費を継続して支払えるのか。採用しても仕事を任せられるのか。社員ではなく、業務委託や外注でも対応できるのではないか。初めての採用だからこそ、簡単には判断できないこともあるでしょう。
社員を採用するタイミングに、売上や創業年数などの明確な基準があるわけではありません。
大切なのは、「人手が足りないから」という理由だけで考えるのではなく、現在の仕事の状況や経営者自身の役割、これから会社をどう成長させたいのかを踏まえて判断することです。
この記事では、初めて社員を採用するタイミングや、採用を決める前に経営者が考えておきたいポイントについて解説します。
初めての採用を考えるとき、こんな悩みはありませんか?
社員の必要性を感じ始めても、「今、本当に採用するべきなのか」と迷う経営者は少なくありません。初めて社員を採用すると、人件費が継続して発生するだけでなく、これまで社長一人で進めていた仕事のやり方も変わります。
そのため、次のような悩みを抱えることもあるでしょう。
- 人手は足りないが、本当に今が採用のタイミングなのか迷っている
- 人件費という固定費が増えることに不安がある
- 社員ではなく業務委託や外注でも対応できるのではないかと考えている
- 採用しても仕事を任せられるか自信がない
- 将来を考えると社員は必要だと思うが、一歩踏み出せない
初めての採用では、「人が必要か」だけでなく、「社員を迎えることで会社をどう変えていきたいのか」まで考えることが大切です。今の忙しさを解消するためだけではなく、これからの会社に社員が必要なのかという視点から考えてみましょう。
初めての採用は、どんなタイミングで考えるべき?
初めての採用に「売上が○○円になったら」「創業○年目になったら」といった共通の基準はありません。
売上や利益はもちろん重要ですが、それだけでは採用するべきタイミングを判断できないからです。
採用を考えるときは、現在の仕事量だけでなく、今の体制でこれからも事業を続けていけるかという視点で会社の状況を見てみましょう。
たとえば、次のような変化は、社員の採用を考える一つのタイミングになります。
- 社長一人で対応できる仕事量に限界が見えてきた
- 日々の業務に追われ、経営者として取り組みたい仕事に時間を使えなくなってきた
- 新しい事業や顧客の拡大など、今の体制では実現できないことが増えてきた
こうした状況が見られるからといって、必ず社員を採用するべきとは限りません。
大切なのは、目の前の忙しさだけで判断するのではなく、現在の体制とこれから目指す会社の姿を照らし合わせて考えることです。
ここからは、初めての採用を検討するタイミングについて、それぞれ詳しく見ていきます。
社長一人では対応できる仕事に限界が見えてきた
事業が成長すると、顧客対応や営業、事務作業など、社長が担当する仕事も増えていきます。
一時的に忙しいだけであれば、外注や業務委託を活用する方法もあります。一方で、継続的に仕事が増えており、新しい依頼を断ることが増えている場合や、社長一人で対応できる仕事量そのものが限界に近づいている場合は、社員の採用を検討するタイミングの一つです。
単に「今忙しいか」ではなく、これからも同じ体制で事業を続けられるのかを考えてみましょう。
経営者が本来取り組みたい仕事に時間を使えなくなっている
会社が成長するにつれて、経営者が取り組むべき仕事も変わっていきます。目の前の業務をこなすだけで毎日が終わってしまえば、新しい顧客を開拓したり、事業の方向性を考えたり、これから必要になる仕組みを整えたりする時間を確保できません。
「自分がやった方が早い」と仕事を抱え続けることで、会社の成長が社長自身の稼働時間に左右される状態になることもあります。
社員を採用することで社長がどの仕事から離れ、何に時間を使えるようにしたいのかを考えることも、採用の判断材料になります。
これからの事業を今の体制では実現できなくなっている
現在の仕事を問題なく回せていても、これから取り組みたい事業を考えると、人が必要になることもあります。
たとえば、新しいサービスを始めたい、対応できる顧客を増やしたい、社長以外にも顧客対応を任せられる体制をつくりたいと考えていても、現在の体制では実現できない場合があります。
初めての採用は、今ある仕事を分担するためだけのものではありません。これから会社が進みたい方向を考えたときに、社長一人では実現が難しくなっているのであれば、将来の体制をつくるために採用を検討するタイミングと考えられます。
社員を採用するか迷ったら、経営者として考えたいこと
採用の必要性を感じても、社員を増やすことが必ずしも最適な選択とは限りません。採用を決める前に、「人が足りない」という現在の状況だけではなく、社員を迎えた後の会社についても考えてみましょう。
社員でなければ実現できないことは何か
仕事が増えたときには、社員を採用する以外にも、業務委託や外注を利用する方法があります。専門的な業務を一時的に依頼したい場合や、仕事量の増減が大きい場合は、外部の力を借りる方が適していることもあります。
一方で、継続的に社内の仕事を担ってほしい、顧客や事業について理解を深めながら長期的に役割を広げてほしいと考えるのであれば、社員を採用する意味も大きくなります。
「人手が必要だから社員を採用する」のではなく、なぜ外注や業務委託ではなく社員なのかを一度考えてみることが大切です。
採用によって社長の役割をどう変えたいか
社員を採用しても、社長がこれまでと同じ仕事をすべて抱えたままでは、会社の体制は大きく変わりません。
初めての採用を考えるときは、「何をしてもらうか」だけでなく、採用によって社長自身の役割をどう変えたいのかも考えてみましょう。現場の仕事を少しずつ任せて営業に時間を使うのか、日々の対応を任せて経営を考える時間を増やすのかによって、採用する意味も変わります。
社員を増やすことそのものを目的にせず、採用後にどのような体制を目指すのかを考えることが重要です。
社員を迎えた後も会社として責任を持てるか
社員を採用すると、給与を支払うだけでなく、仕事を教え、必要な情報を共有し、働ける環境を整えていく必要があります。
採用活動にかかる費用だけでなく、入社後も人件費を継続して負担できるか、仕事を教える時間を確保できるかといった点も確認しておきましょう。
ここで細かな採用準備まですべて決める必要はありません。ただし、「採用できれば何とかなる」と考えるのではなく、社員を迎えた後まで責任を持てる状態なのかを確認してから採用へ進むことが大切です。
採用すると決めた後に準備しておきたいことについては、「初めての採用は何から始める?社員を採用する前に準備しておきたいこと」で詳しく解説しています。
初めての採用は、これからの会社の体制を考えるタイミング
初めて社員を採用するタイミングに、すべての会社に共通する正解はありません。
今の仕事が忙しいからといって、すぐに社員が必要とは限りません。一方で、社長一人で仕事を抱え続けることで、会社が次の成長へ進めなくなっていることもあります。
大切なのは、現在の仕事量だけを見るのではなく、これから会社をどう成長させたいのか、その中で社長がどのような役割を担いたいのかを考えることです。そのうえで、社員と一緒に会社をつくっていく必要があると判断できたら、具体的な採用の準備を始めていきましょう。
初めての採用をどのような順番で進めればよいかについては、「初めての採用はどう進める?募集前から入社後までの採用ロードマップ」で全体の流れを紹介しています。